第2章-② 森が頼もしすぎて萌える!
アップル?あ、なんかいたねそれ。
えーと先に言っときます。日本の森林の、ホントの力を、ちょっとイヤらしい感じで発表するね。
年間、70兆円分働いてます!!!
はいドーーーーーン!
ビビった?70兆よ、70兆。
ちなみに、韓国の2019年の国家予算、47兆円だからね。あ、アップルのブランド価値(2015年)は30兆円。まあ、日本の森林に比べたら、なんかもう、プッって感じ(笑)。
悲しいかな、これを今の人類はちゃんと森に払ってないので、実際には森は稼いでないんだけど、それくらい人類に貢献してるってことをよくよく感謝して欲しい。
ちなみに、金額的に多い順から森林の多面的機能を挙げていくと
1位、「表面浸食防止」で28兆円3000億円!!
2位、「水質浄化」で14兆6000億円!
ちょっと空いて
3位、「水資源貯留」が8兆7000億。
4位、「表層崩壊防止」で8兆4000億。
5位、「洪水緩和」が6兆4000億。
残り3つが、
6位、「保健・レクリエーション」で2兆3000億。
7位、「二酸化炭素吸収」が1兆2000億。
8位に「化石燃料代替」で2000億。
それ以外にも、どうしてもお金には換算できない要素だって山のようにある。「生物多様性保全」とか、「文化機能(風景とか学習とか伝統文化とか)」など、あー、森ってすごいのよ、とにかく。
水を守る、これ最重要!
森ってなーんだ?って聞かれたら、みんなは、木!とか、くまさん!とか、綺麗な空気よね♪とか、答えてない?
それ、マジで浅いから!!!
浅い浅い。浅すぎてくるぶししか足湯になってないわ!ていうくらい浅い。
え?わかりづらい?
いやいや、森ってなにがすごいって、ズバリ言うけど「水」なんですわ。
もう究極言っちゃうと、「地球の水の守り人」みたいなもんだから、森は。そこんとこよろしく。
あえて小難しく言うよ、そういうの好きだから、偉い人は。
森の、洪水(あふれる)や渇水(たいりない)を緩和し、水質を保全する働きのことを、「水源かん養機能」って言うんだって。(いやそこは、ちゃんと「涵養」って漢字使おうぜって思うけどなんだかな~~(笑)。)
まずは蓄えるぜ~~
森の土を思い出してみよう。
良い森の土ってのは、たくさんの落ち葉や枯れ枝が幾重にも積み重なってそれが分解されて長い年月かかって、最っ高の「団粒構造」になってるんだ。これ、土に目に見えないような隙間がいっぱいあるってことね。
しかも、モグラの掘った穴、腐った木の根っこの穴(腐朽孔)もたくさんあって「スポンジ状の構造」にもなってる。
だから、雨や雪の水分が、地面の中をゆっくりと時間がかかって川や地面の下に移動していく仕組みになってるんだ。
逆に表土にこういったもの(落枝落葉とか堆積層)がないと、土に水が浸透しにくくなって、地表を流れてしまうようになる。
つまり、森の植物や動物のいろんな活動が普通にあるだけで、洪水を防いだり、逆に地下水や河川水量をほぼ一定に保つ機能がすっごく備わってるんだ。
ナチュラルブリタって呼んで♪
小さいころ、雪って食べるものじゃなかった? ていうか食べたことない人なんている?いや、食うよね、ふつう!
でもあれダメよ!今や常識あるお母さんは子供らに、雪は汚いから食べちゃダメよ!なんて言うんだから。これマジな話。
雨とか雪って、大気中のちりやほこりや硫黄酸化物や窒素酸化物(工場の煙突から出てそうなやつね)を取り込んで降ってくる、汚れまみれのシャワーなんだから!
いやー、夢の無い時代になっちゃよね。おじさん悲しい。
でも安心して、森がぜーーんぶ綺麗にしてくれっからね。
まずは、水源涵養機能と関係するけど、とにかく土壌に沁みこんでスポンジ状の土の中を流れるだけで、「濾過(ろか)作用」が働いてる。これがブリタ効果。これだけで十分な気がするけど、森はそれだけじゃあない。
植物が、雨に溶けてる余計なリンとか窒素成分を養分として吸収するから、水も綺麗になるわ木も嬉しいわ、一石二鳥の効果もある。
さらには、土は元々岩石だったわけで、カルシウム分とかあるので、それがイオン交換とかの作用で雨の酸性度を下げて中和するっていう、え?そこまでしてくれんの?みたいなサービスがいっぱいあるんだ。
ただ雨が、森を通過するだけで、ミネラルウォーターできあがりってすごくない??
あれ?もしかして、人類ってその恵みをそもそも受けて生きてきて、今それをペットボトルにして買ってるだけか! 何やってんだ人類(笑)!
森の恵み、ハンパない。
温暖化からも守ってる!
まじ? 温暖化? こんなに迷惑かけてんのに、さらに守ってくれてる?
産業革命以降、爆発的に二酸化炭素の排出が増えて、この100年で1度近く気温上昇したと言われている。賛否両論あるとしても、二酸化炭素が増えてるのは間違いない。
じゃあまず、CO2吸っときマース
そもそも、植物って、地球が何十億年も前に誕生してCO2濃度がものすごく高い時に、それをガンガン利用して進化し続けてきた種族。いうなれば、二酸化炭素を食うために産まれてきた存在。で、ようやく増えてきた酸素を、今度はガンガン利用して増えてきたのが、動物って種族。
植物はさ、空気中の二酸化炭素を取り込んで、酸素は捨てて、できた炭素を体の部品に使ってるんだ。だから、植物がいると、空気中の二酸化炭素が炭素として植物の茎とか葉とか幹とかになってる分、固定化されてCO2が減るんだ。
で、燃やして二酸化炭素になったとして、もともと吸った分なわけだから、石油とか石炭と違って出入りがゼロってことで「カーボンニュートラル」とも言われてるよ。
ちなみに、家を木材住宅にするとその分ずっとその木が炭素をキープし続けるから、CO2抑制効果は継続する。木造住宅の炭素貯蔵量は、平均6炭素トンなのに対して、鉄筋プレハブとか鉄筋コンクリートはたったの1.5炭素トンしか貯蔵してないらしい。
さらには、建てる時のCO2排出量も、木造は5炭素トンで建つのに対し、プレハブは15炭素トン、鉄筋はなんと22炭素トンも排出されるんだ。おしゃれなコンクリート住宅とかビル群は、エコ的にはすっごいCO2まき散らしててダサいってこと。木造にするだけで森を育てるのと同じ効果があるから、木の家は「第二の森林」なんても言われてるんだ。
そういえば森って涼しくない?
森が涼しいのは日陰が多いからでしょ!?て思う派?
でもそれだけじゃないんだなー。砂漠が暑いのは、わけがある。それは、木のあるなしに秘密がある。植物に日があたると、葉っぱから水分を蒸発散させるんだけど、そこに太陽の熱エネルギーが使われるんだ。
地面を直接温める代わりに、葉っぱを温めてそれで水分を空気中に放出させてるんだ。木の葉っぱは多くは地面から離れてるから、森林内は日陰効果にプラスして気温が上がりにくい仕組みになってる。すごくない?
温暖化に直接影響あるってわけじゃないけど、この地味な効果も、人間にとっては大事なポイントだよね。
シンプルに気持ちいい!
第1章のセラピーの説明のところでも書いたけど、森には、人にとって快適さを感じさせる何かがある。それはシンプルに、森林の大切な役割と言えるよね。目に見えて活躍する人も大事だけど、いるだけでなんか頼もしい~とか癒される~っていう人も、組織の中には必要でしょ(笑)。
空気うま!
さっき「雪食うなよ」、って言ったけど、つまりは、今僕たちの住んでいる地球の空気は汚染されてるんだ(涙)。悲しいけど。だから、大気汚染なんて言葉もあるんだよね。
でも安心して、僕たちには、森がいる。
実は植物の葉っぱが空気を取り込む時、気孔(葉っぱの裏にある小さい穴)を通して汚染物質も取り込んでるんだって。その上、体内で化学反応して低毒化して蓄積して、さらには枯れた後には土壌成分として利用されるとのこと。
悪名高いあのオゾンなんて、葉っぱに触れただけで分解されるっていうんだから、なんか魔法みたいだよね。
葉っぱから吸い込めないチリやほこりだって、風とか霧とか雨とか色々が枝葉とぶつかって吸着して地面に落とすことで空気清浄化を果たしているんだ。
それに加えてフィトンチッド放出させてリラックス効果まで演出してるしね、奴ら。
そりゃあ森の空気は美味いわけだ。
静かすぎて耳キーンなるわ!
森が気持ちいい理由の一つに、騒音が少ないってのもある。
シンプルに騒音のもと(文明)から遠いっていうのもあるけど、樹木が、草木が、音を吸ってるんだ。その静寂、ちゃんと森が作ってますから!
その一方で、川のせせらぎ、風のゆらめき、鳥の声、虫の声、様々な自然音が、騒音を隠すマスキング効果なんてのもあるよ。
防災だってしてっから!
まずは土砂災害から
稼ぎ高ランキングで言えば最上位がこれだったよね。28兆円でダントツ一位を獲得した「表面浸食防止」機能。
森があることで表土の浸食、土壌の流出が防がれている土砂の量を、堤を建設したとして建設費を算出したら、こんなにトンデモナイ金額になってしまうんだって。
水のところで書いた、雨水による土砂の流出を防いでるだけじゃなく、樹木の根っこが深く張ることで地盤が滑りにくくなり、地盤の表層崩壊防止の効果もあるんだ。
他にもいっぱい役立ってる
それから、木がたくさん生えてることで、落石とか雪崩をまさに身を張って止めてくれてるし、防風、防砂、防潮なんて効果も、ある。あげればきりがないけど、お前らマジで、感謝たりないからね。
だから、林業っていうか森の使い方大事!
↑↑なんか「プロフェッショナル~仕事の流儀」のナレーションっぽくない(笑)?
でも、現状は、本当にこんな状態。
森林が国土の7割を超える日本の「木材自給率」が、
1955年には94.5%だったものが
2008年時点で、24%しかない。
経済成長とか、一次産業の衰退とか、もう理由は山ほどある。それは仕方ない。結局、安い輸入材を利用するばっかりになって林業がもうからなくなって、森に人が入らなくなった。
そして、荒廃が進んだ。
日本の森の4割は、人工林。放っておいても木が成長する(豊かになる)天然林とは違う。間伐しないと下草が生えずに、土砂流出災害を誘発する。使わない⇒荒廃する⇒もっと使えなくなる、この負のループを、今、抜け出すことを考えないといけない時にきてるんだ。
森とつきあうって奥深い
人生100年、林業50年
林業は50年サイクル。って、なっがー!だよね。
でも、木材として利用するとなると、これしょうがないんだよ。ていうか俺まだ40代だし! もう、気が遠くなるくらいの事業。もう正直、考えるのメンドウって気にもなる。
だから、なんかしないといけないんだよね。
色々細かく言い出すと、専門的すぎてみんなが引いていくのが目に見える。
「下草刈り」が大事です。
「間伐」はお金になりにくいんです。
「国産材」と使いましょう。
ってわかるけど、一般ピーポーに何ができるって気がするもんね。
だからこそ、森にまずは出て(森林セラピーでもなんでもいい)、森と人とのつながりを今よりもぐっっっと近づけて、森のトンデモナイ素晴らしさを知ってもらって、日本の森を回復させていく機運が高まるっていうのも、実は大事なんじゃないかな~~。
林業が盛り上がるかどうかって、森を楽しみ森に親しむ人が増えるっていうことと、絶対にリンクしてるよね!
少しずつ、長く、がキーワード
森林利用、特に林業的な利用の今後に必要な視点は、ずばり「持続可能な森林経営」なのだそう。
それは、機能としての「水土保全」も、「森と人の共生」も、林業としての「資源の循環利用」も、持続可能な視点がないと十二分に発揮されないからなんだ。つまり、目先のことばっかり注目しちゃってきた歴史があって今ヤバイわけだから、シフトチェンジが必要ってことだよ。
そこで大事なのが、すこーしずつ伐採しよう!ということ。
一斉に伐採して一斉に植えるやり方の森を「単層林」って呼ぶんだけど、これがまさに今までの林業。そうでなくて、一部を伐採して、色々な木を植えていって育てる「複層林化」がポイントなんだ。
複層林にすると、
①はげ山にならないから、景観がGOOD
②土がむき出しにならないからNO!土壌流出
③いろんな木が育つので、継続的な収入確保♪
④しかも残された木は100年育ってメガ収入!
(3と4は経営努力も欠かさない気がするけど。。。。)
っていいことずくめ♪
何よりも、環境保全・向上効果が大きいのが、本当に肝心なので、覚えておいてね。
たまには自分だすよ
個人的には、
『皮むき間伐』活動とか、
『大地の再生』活動とかを、
オススメっていうか激押しするよ!
※これ、森林セラピ検定には一言も乗ってない、ごくごく個人的な推薦だから、テストには絶対出ないからね(笑)。
第2章ー③へ続く。。。
※このBlogは、森林セラピー®検定*1を主宰する、森林セラピーソサエティとは、一切の関係がありません。ご了承ください。
*1:詳しいことはこちらのサイトから ↓↓